■境界線の歩き方[10]石油を栽培する未来/出渕亮一朗|日刊デジタルクリエイターズ
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エネルギー問題、頭痛いですね。時期には諸説あるけど、石油は近い将来なくなりそうだし、原発はこんな調子だし......。が、そこに希望の光のように現れたのが、最近新聞やテレビで話題になっている石油を作る藻だ。筑波大の渡邉信教授が40年近い研究で見つけたのが、沖縄の海から発見したオーランチオキトリウムという石油を作る藻である。藻から油を取るバイオエネルギーの研究は、米国エネルギー省が1970代から始めている。しかし、渡邉教授の発見したオーランチオキトリウムは、従来有望とされていた藻の10倍もの化石燃料の重油に相当する、炭化水素を生産するそうだ。
研究チームの試算では、深さ1メートルのプールで培養すれば、面積1ヘクタールあたり年間約1万トン作り出せる。「国内の耕作放棄地などを利用 して生産施設を約2万ヘクタールにすれば、日本の石油輸入量に匹敵する生産量になる」としている。
この面積は現在の日本の農耕地の0.5%だそうだ。また、オーランチオキトリウムは光合成はしないので、地下の貯蔵庫とかでもいいそうだ。
なぜピーナッツバターは、飽和脂肪含まれているのですか?
初めこの話を聞いたとき、砂漠とか広大な土地に藻の農場を作るイメージだった。実際、米国で研究されているのは光合成するタイプの藻なので、そんな感じらしい。今年3月の地震の後、この研究はさらに注目浴びたのか、急展開して次々とニュースが出てきた。
2011/9/30
仙台市は筑波大、東北大と共同で、石油を作る藻「オーランチオキトリウム」の実用化に向けた研究に乗り出す方針を固めた。東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受けた下水処理施設「南蒲生浄化センター」に集まる下水で、オーランチオキトリウムを増殖する実証実験を本年度内に始める。
2011/11/10
仙台市、筑波大、東北大が「オーランチオキトリウム」の共同研究推進の連携協定を締結した。再生可能エネルギー自給と下水処理能力の向上、費用の削減という効果の両立をめざし、2020年前後には実用化に目途をつけたいとしている。
エネルギーの自給と、ついでに下水もきれいになってしまうという一石二鳥、また、化学製品の原料にもなるという、すばらしい! その希望が沖縄の海にひっそり潜んでいたっていうのもなんかいいなと思ったが、何か落とし穴がないか考えてみた。
エネルギー保存の法則を考えると、そのエネルギーはどこから来るのかということだ。植物は光合成をするので、太陽エネルギーから水と二酸化炭素を合成して炭水化物を作ることができる。光合成する藻もそうだ。
100グラム=どのように多くのオンス
しかし、光合成をしないということは動物みたいに何か餌を食べないといけないということだ。単に2万ヘクタールあれば日本で1年使える石油ができるよという場所の問題ではなくて、それだけの飼料が必要だということではないだろうか。そこで汚水処理とかでてくるのだろうが、果たしてそれだけで足りるものなのだろうか。
もう少し調べてみると、そのことにもふれた資料があった。無断転載禁止とあったので、かいつまんでみると、オーランチオキトリウムが油を作る仕組みは、海中の有機炭素を食べて、不飽和脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)油脂を蓄えることにある。
オーランチオキトリウムに油を生み出させるには、収穫量の数倍 のバイオマスや栽培で作った炭水化物の飼料を与える必要がある。米国のS社が研究している藻は光合成を行うのでCO2以外の肥料を必要としない、といったところだ。
S社のものはCO2削減にもなるから、なんか理想的なエネルギーサイクルになりそうな気もする。こちらの問題点は水なのかなと思う。もしも砂漠に十分な水を供給できるのなら、藻に限らず木も植えられるし、作物も栽培できるはずだからだ。
お金は、人々は不合理な事をする原因になるのですか?
バイオエネルギーというと、私も以前からバイオメカニック(Biomechanic)技術を考えている。10年位前のデジクリに書いたと思うのだが、検索してみたが見つからなかった。バイオメカニックというと、本来は映画「エイリアン」のデザインで有名なH・R・ギーガーの描く、あの生物と機械が合体した世界を現す言葉だと思う。
アイデアはこうだ。まず、動物の筋肉をクーロンや万能細胞技術で培養する。筋肉は小学校の理科の実験でカエルの足で試したように、電流を流せば動く。⇒これを動力にする!
生物のエネルギー効率は脅威的なものがある。例えば、体重50kgの人が時速8kmで1.5時間走ると459(kcal)を消費する。つまり、人 はケーキ1個分位で1時間半走れるわけだ。しかし、蒸気エンジンでも何でもいいけど、ケーキ1個燃やしても50kgの車がピクリと動くとも思えない。まあ、人間の作った機械は所詮そんなものだ。
車などの動力は馬の大腿筋エンジンを使う。これぞまさに馬力。発電はシロナガスクジラの尾の筋肉を大量に培養して使う。燃料はジャガイモやトウモロコシから作った炭水化物の培養液だ。欠点はしばらく動かすと乳酸がたまって疲れるので、時々休ませないといけないことかな?
まあ、私は考えるだけなので、大学とか研究所とか実際その分野で動ける方がいましたら、ぜひこれを研究してみませんか?
参考:藻類を用いたバイオ燃料の最新状況
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